六波羅蜜 『智恵(ちえ)』
 
 
お坊さんの修行って…。
いったいどんなことをやっているの?
 
 
そんな質問を受けることがあります。
 
 
普段は特別なことをやっているわけではありません。
(お坊さん向けのカリキュラムのような修行もありますが…。)
 
 
基本的に『日常生活』が
そのまま仏道修行という感じです。
 
 
難しいことをやっているわけではないので、
この機会に今日から一週間、
私と一緒に仏道修行をして
素敵人を目指してみましょう。
 
 
 
 
般若心経というお経の中に、
『波羅蜜(はらみつ)』
とか
『波羅蜜多(はらみった)』
という言葉が頻繁に出てきます。
 
 
おじいちゃんおばちゃんが、
仏壇でぼそぼそとお唱えしていたりして、
耳にしたことがある人もいるかもしれません。
 
 
そもそも、
『波羅蜜多(はらみった)』とは…
悟りの(迷いの無い)世界に到達すること。
という意味です。
 
 
そして、
悟りの世界に到達する為の修行に、
『六波羅蜜』
というのがあります。
 
 
六波羅蜜を簡単に説明すると、
布施・持戒・忍辱・精進・禅定・知恵
の六つの修行のことです。
 
 
今日は、
『智恵(ちえ)』
についてお話したいと思います。
 
 
 
 
智恵とは、
『恵みを知ること』
です。
 
 
世界に関心を持つようになって、
日本での生活がどれほど恵まれているのかを
知ることが出来ました。
 
 
いろんな物が目の前にあって、
それを当たり前に利用することが出来ます。
 
 
治安が守られていて、
快適に過ごすことができます。
 
 
これって本当に当たり前のことなのでしょうか?
 
 
 
私は試しに、
これらを
『世間からお借りしている。』
ととらえてみて、
なにかしらで、
『返えす。』
という感じで考えてみたことがあります。
 
 
とても無理ですね。
 
 
今、こうしている間も
他人がもたらしてくれた
モノの恩恵を受けています。
 
 
私はそれに見あったものを、
世間に返せないんです。
 
 
(それはそれで問題なのですが…。)
 
 
 
仏教には『四恩』という言葉があります。
 
・父母の恩(親の恩)
 
・国王の恩(国が平和に保たれている恩)
 
・衆生の恩(社会の恩)
 
・三宝の恩(師の恩)
 
 
の4つの恩です。
 
 
今のあなたをつくってくれたものです。
 
 
一人で大人になれる人間はいません。
 
 
普段から、
気を付けないと、
世の中は当たり前に満ち溢れています。
 
 
大切な事ほど、
『当たり前』
だと思っていたりします。
 
 
智恵の反対語は、
『無明』
といいます。
 
 
つまり、
明るくない…。
 
 
なんに明るくないのかというと、
『物事の道理に明るくない。』
ということです。
 
 
知っているつもりで、
当たり前だと思っていることに、
物の道理という日の光(智)を当てると、
お蔭様(恵み)が見えてきます。
 
 
知 → 智
 
 
知識だけにとらわれず、
時にはじっくり物事の本質も考えましょう。
 
 
せめて、
ちゃんとわかっていて
感謝できる自分でいたいですね。
 
 
大切なモノをちゃんと解っている。
 
 
そんな素敵人になりましょう。